「試作品」の特性上、企業様の〝機密事項″となり、なかなか ご紹介できないのですが、
この度、お客様より掲載の許可を頂けましたので、実例をもとに〝試作品製作から量産まで″の例をご紹介させて頂きます。 |
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■ ホームページ「お問合せフォーム」から頂いた お問合せ内容です。 | 内容を確認させて頂き、ご返信させて頂きます。 | ||||||||
お問合せ内容 ===================================================
初めまして 水槽用品の、「吸盤 サクションカップ ホルダークリップ」というソフトプラチックの部品を自分好みのサイズと改良をしたいと思い、3Dデータ加工製造可能な所を探して辿り着きました。 試作品として1個からでも可能かどうか、金額は等々詳細をお聞きできるお時間は取っていただけますでしょうか? コロナウイルスの影響で不在等も多いので、携帯かGmailにて返信をお願い致します。 ご連絡お待ちしております。 |
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「お問合せフォーム」の情報だけでは、お見積りが難しい場合、下記①~④の 情報をお伺いいたします。 | |||||||||
①: | 3Dデータや2D図面や寸法などが わかる資料などございましたら、添付ご返信をお願いします。 | ➡ | 形状や寸法がわかることで加工方法や材料コストが明確になり、 より具体的なお見積りが可能になります。 | ||||||
②: | ご希望の材質をお伺いいたします。 | ➡ | 材質により、ベストな加工方法をご提案いたします。 | ||||||
③: | ご使用方法や使用環境についてお伺いいたします。 | ➡ | 「材質は、わからない!」お客様に強度や耐候性を考慮した 材料をご提案いたします。 | ||||||
④: | ご希望の製品数量をお伺いいたします。 | ➡ | 数量により、最もコストを抑えた加工法をご提案いたします。 | ||||||
■ 打合せ | |||||||||
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■ 概要: | 〝SUP(サップ)″と呼ばれる人気のウォーターアクティビティに使用する便利グッズの製作。 | ||||||||
■ 用途: | SUP(サップ)で使用するパドルをサーフボードに固定することで、持ち運びの利便性向上と海上での紛失を防ぎ安全性を向上させる用途。 | ||||||||
■ 数量: | サイズ違いの試作品を数タイプ製作する。 | ||||||||
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◀ | 左画像は、打合せ時に ご持参いただいた 手作りの試作品です。
2個1セットで、吸盤をサーフボードに固定し、クリップ部分でパドルを固定するそうです。 |
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※ご持参頂いた試作品は、既製品(水槽用品)に穴あけ加工をし、吸盤を取り付けたものでした。 | |||||||||
手作りの試作品を ご持参いただいたことで、お客様とのイメージの共有ができ、
先の進行が大幅に短縮できました。 |
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▶ | 右画像は、お客様より、メールに添付いただいた寸法指示のpdf画像です。
Excelに画像を挿入し、”図形″などを使い、わかり易くまとめて頂いたので たいへん助かりました。 このような情報をもとに お見積りを提出いたしました。 |
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▶ | 試作の方向性を決めるポイント! | ||||||||
■ 機能性: | ・パドルの脱着回数による緩みが出ない事。 ➡ 或る程度の柔軟性があり、耐靭性に優れる素材。 | ||||||||
・吸盤の交換が可能な構造を加える。 ➡ 限られたスペースに収まる機構検討が必要。 | |||||||||
・カラビナやストラップが使える〝紐通し″の形状を追加する。 ➡ 意匠デザインにも左右する。 | |||||||||
■ 材質選定: | ・海での使用を前提に考慮する。 ➡ 塩害に影響されない素材選び。 | ||||||||
■ 設計構造: | ・吸盤の固定・取外しを可能にする構造。 ➡ 弊社にて設計を担当。 | ||||||||
■ デザイン: | ・基本的にご持参された試作品に近しいシンプルな形状。 ➡ 後日、弊社にてご提案する。 | ||||||||
■ 試作方法: | ・吸盤を固定するための構造上、アンダーカットを避けれない。 ➡ 3Dプリンター試作向き。 | ||||||||
▶まとめ: | ・上記情報より、材質はPA(ナイロン)材を使用。 | ||||||||
・3Dプリンターの一種、パウダー(粉末)造形で製作をご提案。 | |||||||||
・製品の寸法は、ある程度の目安として、お客様にご指定頂いた時点でお見積りとなりました。 | |||||||||
・設計構造及び デザインは後日、ご提案することになりました。 | |||||||||
■ 試作イメージの共有 | |||||||||
▶打合せ頂いた情報を基に視覚化します。
画像は、CADで製作した3Dデータです。即、モノづくりのデータに活用できるので、 リードタイムの短縮ができます。 この時点で、お客様にご確認頂き、修正などのご要望を入れ、試作品の製作に移ります。 |
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■ 試作品の製作 | |||||||||
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◀ | 左画像は、パウダー(粉末)造形で製作した試作品です。
粉末状の樹脂にレーザーで焼結させて3Dデータの形状を造形します。 左画像の他に、細かなサイズや仕様違いのタイプも同時に造形しました。 |
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※ | 弊社のパウダー(粉末)造形は、製品の高さ寸法でコストの大半が決まります。
機械の大きさ(横幅)に収まれば、同じ高さの仕様違いを何タイプか同時に製作した方が 断然お得になります。 |
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■ お客様によるフィールドテスト | |||||||||
お客様に「試作品」数タイプを納入し、実際に使用して頂き、 使い心地などの機能評価を頂きます。 より良い商品にするため、細かな改善点を挙げていただき、 商品化に向け、さらなる改良を入れます。 (ご友人や有資格者のガイドさんにも試作品のテストを お願いしたそうです。) |
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お客様は、同時期に特許出願と商標登録も済ませ、プロモーション活動も行い、大忙しだったそうです。
※特許出願の際、弁理士様に発明を理解頂くため、図面のご用意もいたします。 |
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■ 量産 | |||||||||
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◀ | 量産仕様の打合せ
材質は、強靭でありながら、柔軟性も良く、冬の海での使用も考慮し、 低温でも硬くならない樹脂「PA6ナイロン」カラーは白に決定。 商品名「padohoru」のロゴ入れや 滑り止めのシボ加工などを追加。 ※「padohoru」は〝パドル″ と 〝ホルダー″ を掛け合わせた造語だそうです。 |
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▶ | 金型製作
量産は「射出成型」でシンプルな意匠形状ですが 金型の構造は複雑です。 お客様のこだわりもあり、今回の製品化は全て国内生産で 行います。 |
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◀ | トライ成型
いわゆる〝試し打ち″です。 早速、出来栄えをチェック・・・ん?・・硬い⁈ トラブル発生です!製品が硬すぎてパドルの取り外しがキツ過ぎです。 |
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▶ | トラブルの原因は、近似した物性の材料で試作をしたのですが、量産と異なる成型方法の違いが予想以上に
大きく出てしまいました。 大至急、対策を講じます。 |
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■ トラブル対策 | |||||||||
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◀ | 左画像は、対策のために加工を施したサンプルです。
クリップ部の強度が高すぎるため、強度を落とす必要性が… もともとがシンプルなデザインのため改良を入れる場所が少なく 意匠変更が必要になりました。 |
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▶ | お客様に形状変更案の許諾を頂き、
量産サンプル(トライ成型品)に変更案と 同じ形状に切削加工を施した加工品を お客様にご確認頂き、金型の改修へ移行します。 |
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◀ | 対策品、トライ成型
金型職人さんが細かな調整をしながら成型条件を出します。 完成した成型品をお客様にご確認頂き増産に移行。 |
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■ 完成! 商品名「 padohoru( パドホル )」 | |||||||||
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パドルスポーツの新アイテム
「padohoru(パドホル)」 絶賛発売中です! |
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パドルをサーフボードに固定できるので、持ち運びが楽々。
海上で のんびりしたり、ヨガ、フィッシング、シュノーケリング等、パドルから手を放しても padohoruがあれば、ワンタッチで固定。もうパドルが流される心配はありません。 また、ちょっとした工夫で おしゃれな 壁掛け収納もできる パドルスポーツの新アイテムです。 |
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試作品製作は、お客様のイメージをカタチにしますが、必ずしもイメージと合致する結果が出ないこともございます。 | |||||||||
トライ&エラーを繰り返し、ついに製品化した「padohoru」こだわりの詰まった便利グッズです。 | |||||||||
商品の詳しい情報は下記サイトをご覧ください。 | |||||||||
発売元:有限会社サン SUP事業部:https://www.padohoru.jp/ | |||||||||